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2005.03.13

沈丁花の香りがうとましい夜

ライブの帰りはいつも遅い。
最寄り駅に着くのが12時半過ぎ。そこから徒歩20分。
楽しいライブの日には、歌いながら大通りを歩く。
思うように歌えなかった夜は、背中のギターが重たくて、足をひきずるようにして我が家に向かう。

昨夜は、20分の道のりが長かった。
わたしの歌なんて、あってもなくてもどうでもいいものなのに、いったい、こんな夜中までわたしは何をやっているんだろう。不本意な歌のあれこれが頭に浮かぶ。雨上がりの夜、片手に持つ傘さえが恨めしい。

ため息をつきながら大通りから細い道に曲がると、通り過ぎようとした植え込みから沈丁花の香りがただよってきた。

沈丁花。見た目は地味な花。もし、その匂いがなければ、誰も咲いていることに気づかないだろう。でも、沈丁花の香りは、確実に通りがかる人に春の訪れを教えてくれる。一年に一度だけ、冬はもう終わりですね、とささやきかける。

ありふれた植え込みからただよってくる湿った沈丁花の香り。こんな地味な花にも確実に役割がある。人々に送る香りがある。

ああ、わたしの歌には、通りがかりの見ず知らずの人の耳に届く何かがあるのだろうか。

遠ざかっていく沈丁花の香りを感じながら、やりきれない思いで暗い路地を曲がってみた。

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