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2005.10.08

伝説のベーシストのご利益

ギター教室に行ってきました。

「発表会の曲からいきましょうか?」とセンセイ。発表会まであと2週間。先生が、自分の教室で初めて開く発表会。直前の指導に熱が入るのも当然です。

「いえ、センセイ。この間のレッスンからまだ一週間しか経ってないから、変わり映えしないんですよ。きょうは、別の曲を見てもらってもいいですか?」相変わらず、素直ではない、注文の多いももこさん。

というわけで、発表会では弾かない「ケンプのジグ」。ルネッサンスの香り漂う古風な舞曲のような軽やかな曲。何ヶ月か弾き続けて、どうにかこうにか左手の指は動くようになったのだが、右手がついてこない。軽やかな舞曲のはずが、ボッタン、ボッタンとやぼったい音が鳴る。これじゃ、重たい体のももこさんのダンスそのまんまだ・・・あーあ。練習すればするほど、嫌気がさすのです。どうしたら軽やかに弾けるんだろう?

「センセイ、最近の悩みは右手なんですよ。左手はね。練習すればだんだん速く動かせるようになるような気がするけれど、右手がどうしても言うことを聞いてくれないんです」とセンセイに悩みを打ち明ける。

「そうですか? もう一度、弾いてみてください」と言われるままに、もう一度、ボッタン、ボッタンとケンプのジグを弾いてみると・・・

「伝説のベーシスト、ジャコ・パストリアスはですねえ、ももこさん」唐突にセンセイが言い出した。
「はあ・・・」
「あの超絶テクニックでベースを弾くとき、ほとんどブリッジ寄りで弾いてたんですよ。ももこさんも、もっとブリッジ寄りで弾いてみると、弾きやすいですよ」
「はあ。」
「騙されたと思ってやってみてください」とセンセイ。

そうまでおっしゃるのなら、ためしにブリッジ寄りで弾いてみましょうか・・・・そうしたら、あら不思議。確かに、さっきよりは右手が動かしやすくなったような気がする。伝説のベーシストのご利益かしら?

「不思議ですねえ。なんで、弾きやすくなっちゃうんだろう???」
「それはですね、ももこさん。サウンドホールの真ん中で弦をはじくと、柔らかい音は出るんですが、弦がたわむのでさばきにくくなるんです。ブリッジ寄りで弾くと、弦のたわみが少ないのですばやく指を動かしやすくなるんですよ」

なるほどー。さすが、ギターのセンセイの言うことは理にかなっている。

でも、全体的にボッタン、ボッタン、と重たく聞こえることは変わらない。これはどうしたものか・・・・

「アポヤンドで弾くときは、もっと指の力を抜いて、すばやく振り切るようにしましょう。指が弦に当たる時間が少なければ少ないほど、いい音がします。」
「はい・・・」

わかっちゃいるのだけれど、なかなかできないのよ、センセイ。

「マーカス・ミラーっていうベーシスト、知ってますか? ももこさん??」とまたまた唐突にセンセイが言い出した。
マーカス・ミラー・・・ああ、その人なら知っている。イヴァン・リンスと共演したことがあるベーシスト。でも、どんなベースだったかまでは思い出せないなあ・・・と思っていたら、センセイがちゃんと解説してくれた。
「マーカス・ミラーがマイルス・デイビスと共演したときにですね。マイルス・デイヴィスは、マーカス・ミラーに、"あまりたくさん弾くな!"と注文をつけたんだそうです。そして出来上がった録音を聞いてみるとですね。マーカス・ミラーは本当に音数少なく弾いているんですがメチャクチャかっこいいんですねえ。それは、ベースの音、そのものの響きがいいからです。」
「はあ。」
「ギターも、一つ一つの音を鳴らしきることが、速く弾くことよりも大事ですよ、ももこさん」

ご説、ごもっとも・・・だけど・・・さしあたり、わたしの右手はどうすればよろしいんでしょう? センセイ?

「ギターから手を離して、手の動きを練習してみましょう」
「はい、センセイ」
「右手の人差し指、中指、薬指の第一関節を曲げずに第二関節から弦をはじく動作をしてみてください」
「第一関節を曲げずに・・・あれ? ムズカシイ」
「でしょう? 人間の手は、握った状態が安定して器用になるんです。第一関節を曲げないということは指を開いたまま動かすということですね。ふだんこういう動作はしないでしょう? だからこの動きの練習が必要なんです。指を開いたまま、第二関節から思い通りに動かす練習です。」

実は、同じことを前にも何度かアドヴァイスされたような気がする。でも、いまひとつピンとこなかった。きょうは、指を開いたまま思うように動かすというセンセイ考案の「空中第二関節体操」がとっても理にかなったものに思えた。やってみると、第二関節から先を伸ばしっぱなしのまま指を動かすのは、感覚が頼りなくてぎこちない。でも、指を開いているぶん、力が抜けてくるような気がした。ああ、これは、いいかもしれない・・・

「では、発表会の曲、聞かせてください、ももこさん」とセンセイに促され、2週間後に弾かねばならぬ"Le Pelerin"を弾いてみた。アポヤンドでメロディを浮きたたせる弾き方。一つ一つの音をきれいに鳴らすのにかなりの緊張感を味わいながら・・・

あら・・・不思議。マーカス・ミラーのお話のご利益か、はたまた「空中第二関節体操」の効果か、いつもよりも楽に、そして、ちょっぴりきれいに弾けたような気がする。力を入れなくても音が響く。ああ、これだったのか・・・

「だいぶきれいになったじゃないですか」とセンセイにも褒めていただいて、メダタシメデダシで本日のレッスンは終了したのでした。

それにしても・・・伝説のベーシスト達は、日本の小さなギター教室でギターの初歩を習っているももこさんに、自分達がご利益をもたらしたなんてこと、夢にも思ってないでしょうえねえ・・・ 今宵は感謝を込めて、マーカス・ミラーがベース弾いているCD、聞いてみようかな。

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