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2005.10.27

花とおじさん

「花とおじさん」

弘美ちゃんとわたしはこの歌をこう呼んでいた。サンバに出会って間もないころ。ポルトガル語のタイトルがさっぱり読めないころだった。「花とおじさん」・・たしかそんな歌が日本にあったような・・・とにかく、元のタイトル"O Velho E A Flor"(老人と花)の意味と当たらずと言えども遠からず、の呼び名ではないですか。

トッキーニョとヴィニシウス・ジ・モライスの二人が歌う「花とおじさん」。ひとりは最初から最後までメロディを歌い、もう一人は後半のメロディだけを繰り返す二重唱。そして、合間のピアノソロが、サンバばかり聴いていたわたしにはとても新鮮だった。ブラジルの歌にも、こんな風にちょっぴり都会の夜の匂いがするピアノが聞こえてくる歌があるのねえ・・・・

これは二人のお気に入りの歌になり、弘美ちゃんがギターを覚えて、二人で二重唱をした。あるとき、ブラジル人のスルドおじさん、ダミオンの前で歌って「わたしたちのポルトガル語、わかる?」と聞いたら、「マイス オウ メーノス」(まあまあね・・)と言われてしまった。あのころは、二人ともポルトガル語の歌詞の意味などほとんど知らずに歌っていたのです。

歌詞の意味。ポルトガル語の詩を読み解くにはわたしのポルトガル語力はまだまだ不十分だけれど、あのころよりは知っているポルトガル語の単語が増えたぶんだけ、歌の意味を推測しやすくなった。

今のわたしはこの歌の歌詞をこのように
推測しています。


 世界じゅうを旅して
 詩人や王様に出会っては聞いてみた
 今度こそ答えを教えてくれると期待しながら。
 「愛とは何か」という問いの答えを

 でも、だれも答えを知らなかった。
 死ぬまで探し続けようと思っていた。
 でもある日、ひとりの老人が語ってくれた。

 愛とは、たとえて言えば花のようなもの。
 優しく、そして、棘がある。
 花が開くとき、それは
 血を流して生きる生の始まり。


「星の王子様」を思い出させるような問答。愛とは何か、その答えを語ってくれたのは詩人でも王様でもなく、一人のおじいさんだった・・・おじいさんは「愛とは何か」など大上段に語ったのではないかもしれない。若者相手にちょっぴり年寄りくさい説教をしたのかもしれない。酔っ払っていたのかもしれない。どこかの街角のおじいちゃんの一言。「愛? いとおしくて、でも棘があるねえ・・・」 捜し求めていた答えはこんなところにあった。そんな歌じゃないのかな・・・

と、知ってる単語を元に想像たくましくしながら、久しぶりに歌ってみた。

ギターを弾きながら何度か歌ってみてふと思いついた。「愛はいとおしくて、棘があるものだ・・」と、右手の親指で語ってもらおう。おじいちゃんの何十年かの「血を流しながらの」人生。さらさらときれいに弾き流してしまわずに、右手の親指をしっかり鳴らして、ちょっとくどいおじいちゃんになって語ってもらおう。

だって、この歌は、「おじいさんと花」。主役はおじいさんなのだから・・・

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