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2006.09.13

楽譜、ないの?

こんなライブでした その8
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9月2日(土) 18:30~
西巣鴨 カフェ・ド・ノーブル
ゲスト:原田俊也さん。


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久しぶりにお会いする原田さん。いつもライブにお子さんを連れてくる。この日はいちばん上のお姉ちゃんの愛ちゃんがいっしょに来てくれました。

原田さんのオリジナル曲の弾き語り。時に激しく、時にしみじみと人生を歌います。お店に集まった方々もじっくりと聞いてくださいました。

その「じっくり聞く」雰囲気のまま、Momokoの番になりました。自分の歌とギターが静かなお店いっぱいに響く。皆さん、Momokoのほうを向いて聞いてくださる。久々に集中して聞いていただける幸福感と緊張感。

そんな緊張感で歌い終わったところで、久しぶりにお店に来てくださった方からこんなリクエストをいただいてしまった。


「ももちゃん、CD買うよ」
「ありがとうございます」

そして、彼女はCDの歌詞カードを眺める)

「ももちゃん、この歌、楽譜はないの?」
「楽譜、ですか?」
「そうそう。わたしも覚えてうたいたいから」
「あの、CDを聞いていただければ、歌はカンタンなものばかりですから・・」
「ほら、でも楽譜があったほうがわかりやすいじゃない?」
「はあ・・・・」

そうかなあ・・・楽譜を見て歌を覚えるなんて、よほど専門的に音楽をやってる人がすることじゃないだろうか? 

「楽譜を読むのってけっこう難しくないですか?」
「わたしも楽譜はそんなに読めないけどね。ほら、楽譜って、音の上がり下がりが目で見てわかるじゃない? ここで上がる、ここで下がる、ここで伸ばすって」
「ということは、つまり・・・折れ線グラフでもいいっていうことですか?」
「そうそう!」

なるほど。楽譜というのは音の高低や長短が一目でわかるということか。

でも、困ったなあ。Momokoオリジナルの曲には楽譜はひとつもないのです。

「あの、楽譜はないんですよねえ・・・」
「ないの? だって、このCDの曲はももちゃんが作ったんでしょ?」
「そうですけれど、楽譜はないんです」
「楽譜を書かずに、どうやって、曲を作るの?」
「それはですね。何かメロディを思いついたときに、ありあわせの紙にカタカナでメモするんです」
「カタカナ?」
「はい。『ソレーミ、ソレーミ、ミミミミファー』ってな具合に・・・ で、それをつなぎ合わせて何度も歌ったりギターを弾いて、曲にするんです」
「へえ!」
「で、一曲出来上がるころには完全に覚えているので、楽譜は必要ないんです」


ひとりで弾き語りをしているわたしは、共演者のために楽譜を用意する必要もない。たまに共演をお願いする方々はどなたも、楽譜がなくても、曲を聴いて勝手に(?)演奏してくれます。

でも、せめてコード譜ぐらいは作っておいてもいいかもしれないな。
「Momokoさんの歌を歌いたいから、楽譜ください」と言う人が現れないとも限らないものね。


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演奏曲

1. Fantasia Tropical~星空のカーニバル
2. Palpite Infeliz
3. Triste Madrugada~悲しい夜明け
4. 沈黙の薔薇
5. 夏の終わり
6. オリビアを聞きながら
7. Tristeza


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2006.09.01

一瞬、耳を捉えたピアノのお話

こんなライブでした その7
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8月22日(火) 14時から15時
スカイラークガーデンズ多摩センター駅前店

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八月ももうすぐ終わりという日の夜。
「美味しいもので暑気払いしましょう」と、数人の仲間とレストランに出かけていった。

スペイン料理のレストラン。
ビールにワインにサングリアが進むにつれ、久しぶりに会う仲間とのお喋りにますます弾みがつきます。

そんなにぎやかなテーブルで、飲んで、食べて、喋って、笑って・・・・の合間のふとしたすき間に聞こえてきました。


メンデルスゾーンの「ベニスの舟歌」。


お店の片隅で、ピアニストのお姉さんがアップライトピアノを演奏しているのは知っていました。BGM風に、ジャズやボサノヴァ、ポップスなど誰にも聞きなじみのある曲をさらり、さらりと弾いてらっしゃいます。

まわりののテーブルから聞こえる話し声。
食器が触れ合う音。
料理を運ぶ店員さんの気配。

ピアノの音は、こうした店内の心地よい喧騒の中に紛れ込むようにしてわたしの耳に入ってきます。意識して聞き入るわけでも、拍手をするわけでもない。空気のようなBGMの生ピアノ。

そのBGMのピアノが、わたしの耳を一瞬独占したのです。

メンデルスゾーンの「ベニスの舟歌」だ・・・

懐かしい・・・この曲は何度も聞いて、何度も弾いた大好きな曲。

ピアノを弾かなくなり、メンデルスゾーンの無言歌集のCDも長いことしまったままだったっけ・・・・

やっぱり、いい曲ねえ・・・

時間にしてわずか2,30秒。わたしは、ピアノを弾いては幸せに浸っていた自分を思い出していた。

そして、「こんなところで『ベニスの舟歌』が聞けて、よかったな・・・」と思ったのでした。

*****

スカイラークガーデンズでの演奏はBGM演奏です。
昼下がりの音楽番組という感じかもしれません。

当たり障りなく、聞き心地よく歌えばそれでいい・・・のかもしれません。

でも、時々不安になる。

わたしの歌はテーブルの皆さんにはどのように聞こえているのだろうか?
食事や会話の邪魔にはならいないのかしら?

歌うことは楽しい。だけれども、時には不安になるのです。

*****

8月22日。スカイラークガーデンズからの帰りの電車の中で、わたしはポロリと涙を落とした。

一生懸命練習しているつもりなのに、どうしてこんなに下手なんだろう。
「伝わる歌」だの「いい歌」だのという以前に、「無難に聞き心地のいい演奏」がなぜできないんだろう・・・情けなさと悔しさで涙をポツポツと落としていた。

その数日後に訪れたスペイン料理店で聞こえてきた「ベニスの舟歌」。
演奏自体はすばらしく上手というわけでも、特別に思いが込められていた、というわけでもない。

ただ、「ベニスの舟歌」という一曲が、ピアノを弾いていたころの自分を思い出させてくれて、懐かしさを味あわせてくれた。

BGMというのはこういうものかもしれないな・・・

たいていの人には、たいていの場合には、あってもなくてもどっちでもいいもの。
お店の雰囲気づくりのお手伝いのようなもの。

けれど、時として、誰かの耳を捉える。それは、演奏がとてもよかったからかもしれないけれど、聞く人のその日の気分や過去の思い出に響くことがあるのだろう。

きょう、わたしが歌う10曲あまりの歌のどこかが、どなたかの耳にとまったとき、しみじみと聞いてもらえるような、そんな演奏ができるようになりたいと思う。

無難に、というよりも、ある瞬間、耳を傾けてくれる誰かのために、いい歌をうたえるようになりたい・・・と思うのです。

*****

演奏曲


1. Aventura~カヌーを漕いで
2. ウェイヴ
3. A Felicidade
4. Manhã de Carnaval
5. Emoldurada
6. 酔っ払いと綱渡り芸人
7. 少年時代
8. 夏の終わり
9. Felicidade~しあわせは
10. Tristeza

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