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2014.06.23

青い森への旅日記4 旅立ち~魔法の杖を携えて

6月13日、金曜日。

「お母さん、行ってきまーす!
 日曜日の夜遅くに帰ってくるからね。
 冷蔵庫にいろいろ入ってるからテキトーに食べててちょうだいね。
 ヘルパーさんがお薬を持ってきてくれるから、ピンポンが鳴ったらちゃんと出てあげてね~♪」

午後8時20分、小さなリュックとギターケースを背負って出発。
9時少し前に新宿駅に着くと、高速バス乗り場に行く前に、ルミネのトイレを拝借。

一人旅の前の大事な儀式のために。

生まれつき視力が弱い弱視という障害を持つ私は、バッグの中にいつも白杖を入れています。
ふだんは白杖を使わずに歩きます。白杖を持つよりも、つまずいたりぶつかったりした時にとっさに手がつけるように、両手を空けておく方が安心安全なのです。

弘前への夜行バスに一人で乗るには白杖を手に持つ必要がありました。

トイレに行くために。

観光バスのような4列シートのパンダ号には車内にトイレがなく、途中で3回のトイレ休憩があります。
暗いサービスエリアで一人でトイレに行くのは私には無理。トイレを出て、広い駐車場のパンダ号に自力で戻るのも無理。

どなたかに一緒に行っていただくようお願いすることになります。

その時に白杖を持っていないと・・・

「あのー、すいません。私、パッと見は普通の人に見えるんですけれど、実はかなり目が不自由なんです。一人では暗いところを歩けないので、申し訳ないのですが、一緒にトイレに行っていただいて、帰りもこのバスまで連れてきていただけないでしょうか・・・?」

夜中のトイレ休憩時には、言う方にも聞く方にもあまりにも長いこのセリフ。

白い杖を持っていれば、

「あのー、すいません、お手洗いに行かれるのでしたら、ご一緒させていただけませんか?」

の一言で済みます。

かくして、ルミネ2階のトイレの個室で、小さなリュックからコンパクトに折りたたんだ白い杖を取り出すと、パタ、パタ、パタと伸ばして長い白杖にして右手に持ってトイレを出ます。

白杖の効果はてきめん。
新宿西口、ヨドバシカメラ近くの高速バス乗り場に着くと、「何行きに乗られますか?」とさっそく係員さんが声をかけてくれます。
「パンダ号で弘前まで行きます」
「乗車時刻になったらご案内しますので座っておまちください。」

9時20分ごろ、係員さんの誘導でパンダ号の前から9列目、窓側の席に落ち着きました。
お隣は30歳ぐらいのお姉さん。

9時30分、定刻通りに発車。
途中、東京駅で何人かのお客が乗り込むとほぼ満席になったパンダ号は、東北自動車道に入り一路北へ。

10時半ごろ、車内の電気が消えると車内は動く寝室に。
青森行きにわくわくして眠れないかも、などという心配は無用でした。浦安探訪から始まった長い一日の疲れで、窓と背もたれの隅っこにもたれて眠ってしまいました

トイレ行き用の白杖はたたんだまま・・・

朝の6時少し前。
目が覚めると、窓のカーテン越しに曇り空がぼんやりと見えます。
到着まで1時間足らず。
iPadを出して読みかけの本を開きます。

若き日の池波正太郎の短編、「眼」。病気で突然視力を失った青年の物語。
読みかけのページは、中途失明の青年が外出先で突然腹痛に襲われ、公衆便所を探し回るという場面。他人事とは思えない描写に思わずiPadを握りしめたところで、車内の電気がつきました。

6時40分、弘前バスターミナル到着。
いちばん最後にバスから降りて、預けたギターケースを受け取るころには、他のお客はすでにどこかに行ってしまい、バスターミナルは閑散としています。

あらら? 
皆さん、トイレに行かないの?
顔を洗ったりしないの?

バス乗り場に取り残された私は、人けのないターミナルでトイレを探しますが、どうにもみつかりません。
しばらくうろうろするうちにようやく係員のおじさんに遭遇。

「お手洗いはどちらですか?」

白い杖の効果てきめん。
おじさんの誘導で暗い階段を下りて、地下1階のトイレに無事到着したのでありました。

ああ、よかった。

これで、安心してアップルパイを食べに行ける♪


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