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2014.06.02

お一人さまの流儀

あちらのライブハウスで、こちらのライブハウスで、
渾身のステージが繰り広げられていた、
5月最後の土曜の夜。

私は、東新宿駅近くにぽっかりと開いた下り階段の入口にたたずんでいた。

今夜はどんな夜になるのか、予想がつかないまま、
暗い階段を一段ずつ降りていく。

L字型のカウンターには、今宵の主催者のおじさま。
おじ様のお仲間のお兄さんが一人。
細身のイケメンお兄さんが一人。
店のマスターも加わっての音楽談義が盛り上がってきたころに、

「そろそろ始めましょうか」

主催者のおじさまが弾き語るフォークの名曲に昭和へタイムトリップ。
イケメンお兄さんの正体はシンガー・ソング・コメディアンであることが判明して爆笑。
続くももこはサンバを歌い、
お仕事帰りに駆けつけていらしたおじ様が洋楽カバーを見事に弾き語る。

そしてまたカウンターに集って、
店のマスターを交えての音楽談義。

そこへ、若い女性が入ってきて、私の右隣に座った。

「赤、お願いします」さりげなく注文。
「初めてでしたっけ?」マスターの問いかけに
「はい」とだけ答える。

夜更けのバーのカウンターに女ひとり、グラスを片手に座る。

そんな都会の女性に常々憧れを抱いていた私は、
右隣の彼女をしばし見つめてしまった。
さりげなくカウンターにたたずむが、どことなく人なつこさを感じさせる。

「ここ、初めてって言ってましたよね?」と話しかけてみた。
「近くに住んでるんですけど、ここ、前から気になってたんです」と彼女。
「こういうバーによく一人で行くの?」
「ええ、仕事柄一人でパソコンに向かってることが多くて、時どき外に出たくなるんです。」
「一人で?」
「一人で飲むこともあるけど、友達がいるところに行ったり。この間はね、こんなところに行ってきたんですよ」

彼女はスマホの写真を見せてくれた。

「えーと、私、目が悪くて、これ、どうなってるの・・・・?」
「あ、こうやると大きくなりますよ」彼女は指で画面を操作して拡大してくれた。

日常生活では遭遇しないようなあんな写真、こんな写真は実に興味深い。

「こういうところによく遊びに行くの?」
「いえ、いえ。たまたま友達がイベントに誘ってくれたから行ってみたんです。そういう面白いこと、楽しいじゃないですか!」

2杯目の赤ワインを注文した彼女に、私は聞いてみた。

「行ったことのないバーに一人で行くのは怖くない?」
「全然!」と彼女は簡単に否定する。

そして、彼女の「お一人様バーの流儀」を語ってくれた。

「カウンターがある店なら大丈夫ですよ。カウンターに座って、とりあえず何か注文して、マスターと話したりして様子をみて、面白そうな会話が聞こえてきたら何気なく割り込んだりして。
なんか違うな、と思ったら、1杯だけ飲んで出ちゃえばいいんだし。」

「バーに行くのは、だれかと話がしたいから?」

「私はそういうことが多いですね。ふだん一人で仕事してるから。いろんな人と話してると、いろんなことが起こって面白いじゃないですか! お酒が飲みたいだけなら自分の部屋で好きなのを飲めばいいわけだし」

なるほど。バーや飲み屋に行くのは、お酒を飲むためだけじゃないんだな。
居合わせた人との絡み合い。そこが面白く、ちょっぴりスリリングなんだな。
こういう展開は、喫茶店やレストランではあまり体験できない。

「うらやましいなあ。私はお酒が飲めないから、歌をうたうとか、だれかの歌を聴くという目的ががなければ、バーなんかに一人で行けないもの・・・」と言ってみた。

すると・・・

「ももこさんなら大丈夫! 私、一緒に喋っていて楽しいもん!」と太鼓判を押されてしまった。


ライブの後に一人でふらりと入ってきたこのお姉さんに、「お一人さまバーの楽しみ」をちょっぴり体験させてもらえたような気がした、アフターライブの夜更けであった。


♪♪♪♪♪

セットリスト

WAVE(ボサノヴァ 替え歌byももこ)
Palpite Infeliz(ブラジルの歌)
Berimbau(ブラジルの歌)
Mas Que Nada(ブラジルの歌)
Tristeza(ブラジルの歌 替え歌byももこ)


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