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2014.07.13

青い森への旅日記14 ハイウェイ・グルーヴ

東北自動車道に入った車は順調に南へ、南へと進みます。

遠くに近くに山を見ながら。
青い田んぼを見下ろしながら、
時おり街を通り過ぎ、
トイレと駐車場だけある所をパーキング・エリアと言い、
レストランやお店があるお休み処をサービス・エリアというのですよと教わる。
そんなことの一つ一つが珍しい。

それにしても、クマちゃんはすごい。

摩訶不思議な機器の集合体である自動車という一大装置を時速100キロ超のスピードで走らせながら、それを制御し、操作するのだから。

それだけではない。
高速道路を走りながら、
ドリンクの瓶やペットボトルの蓋を開けて飲んではまた閉め、
襲い来る睡魔を押し返し、
包み紙を次々剥いてガムを噛み、
剥がしにくい包み紙を器用に剥いてりんごキャラメルを食べ、
私が噛み終わったガムまで「ゴミはこちらへ」と引き取ってくれたり、
クマちゃんからは1メートル以上離れているサイドミラーというちっちゃな鏡にも目を配ったり、
CDを交換したり・・・

その間も、時速100キロ超のスピードで車を走らせているのだから。

「そういえば、私もサンバのCDを持ってきたんだけど・・・」
「そうなんですか! 聞きましょう!」

何時間もの高速道路走行の気晴らしになるかもしれないと、サンバのCDを持ってきていたのです。

ところが、意外と気分が盛り上がらない。

なぜだろう? 
大好きなサンバなのに、なぜ盛り上がれないのだろう?

二度、三度と繰り返して聞くうちに、ひとつの仮説が立ちました。

「サンバのグルーヴとハイウェイのグルーヴは相容れない」

サンバは2/4拍子。そのリズムの土台は、1,2,1,2、と大地をがっしり踏みしめる足踏みに根ざす「スルド」という名の重低音の大太鼓です。
大小様々のパーカッションがそれぞれにリズムを刻み、それらのアンサンブル全体が、ベース音のスルドの足踏みに乗って、サンバ独特のリズムのうねりを創りだす。

大地を踏みしめるリズム。
この「足踏み感」が、時速100キロというスピードとしっくりこないのではないか?

一方、ビートルズのCDをかけてみると、そのビート感に、すいっ、すいっ、と車が乗っていくようで、実に気持ちがいいのです。

車には車に似合うスピード感の音楽がある。
これは発見でした。

車はさらに南へ、南へと進みます。
安達太良サービスエリアの巨大なウルトラセブンのご発声に度肝を抜かれて目が覚めて、
さらに南へ南へとひた走り、
夜も11時になろうとする頃、
単純明快な東北自動車道から、
次々枝分かれする複雑な首都高に入ると、
東京に帰ってきたと実感します。


東池袋の出口で首都高を降りたところで、
「明治通りはどっちだろう・・・」とクマちゃんが呟きます。
ここは私の家のすぐ近所。しょっちゅう歩いて通っている界隈のはず。
それなのに、今東池袋のどこを走っているのかさっぱりわかりません。

車と縁のない生活を送る私は、首都高の東池袋の出口から降りたこともなく、その出口が東池袋のどこにあるのかも知りません。
近所まで来たというのに道案内ができない自分が情けない。

それでも間もなく明治通りを見つけてくれて、我が家への曲り角にある100円ローソンの前で停めてもらいました。

ギターケースとお土産のバッグを降ろしてもらうと、朝の8時半から夜の12時近くまで15時間余りを一人で運転して東京まで連れて帰ってきてくれたクマちゃんにご挨拶。

お疲れさまでした。
ほんとうに、ほんとうにありがとう。

この後、八王子のご自宅まで運転して帰るクマちゃんの交通安全を祈りつつ、我が家への曲がり角を曲がったのでした。


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