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2014.07.01

青い森への旅日記8 山の母さんの店

6月14日、土曜日、正午。

温泉の匂いいっぱいのクマちゃんの車に乗りこむ。
運転はクマちゃん、助手席にシュンメイさん、後ろにはYTさんと私。
三内丸山遺跡の興奮冷めやらぬ3人と合流して、さて、これからどこに行くんだっけ・・・?
ここから先、私は地図を見ることはない。あなた任せの旅が始まる。

「どこかで昼にする?」
「いや、店に行っちゃった方がいいよ」

「店」というのは、YTさんのお知り合いが山の上でやっている野菜の直売所らしい。

「その店のあたりで昼食が取れるところはある?」
「なんか旨い店があると書いてあった。とにかく行こう!」

市内を抜け出した車は山の方へと向かっていく。最初は緩やかだった道は、しだいしだいに急こう配になり、行き交う車が少なくなる。

こんな人通りというか、車通りの少ない山の中に本当にお店があるのかしら・・・?
あなた任せの私がちょっぴり心配し始めたころ、

「あった、あった、あそこだ! 山の母さんの店!」

山の母さんの店は、高冷地野菜を栽培するご家族が収穫した野菜や加工品を販売する直売所。気温の低い高地で栽培した野菜は甘味が増して美味しくなるのだそうな。春から秋だけ開く直売所。深い雪に閉ざされる冬の間はお休みだそうな。

野菜や漬物類が並ぶ店内に入ると、田舎のおばちゃんのお家に遊びにきたような、どこか懐かしい匂いがする。「こんな人通りの少ないところで・・・」などというのは私の要らぬ心配だったようで、このお店の新鮮野菜を求めるお客さんが来店していた。

小さな店内をひとめぐり。
トマト、キュウリ、レタス・・・どれも新鮮。そのままバリバリかじりたくなる。
試食させていただいたお漬物も美味しかった。

一人で留守番をしている母に何かお土産に買っていきたい。けれど、歯がない母は新鮮野菜も漬物も苦手なのだった。

旅の思い出話と共にお土産にできるものは何かないかなあ・・・

商品の棚をさらにじっくり見ていくと、幅30センチほどの籠の中に布製のかわいいお地蔵さまがたくさん入っているのが目についた。
真っ赤なよだれかけをして、菅笠をかぶり、一つひとつ、違った柄のお着物を着たお地蔵さまは、どれも愛らしいお顔をしている。

ひと目見て、母が喜こんでくれるに違いないと確信した。
籠の中の十数体のお地蔵さまを一つ一つ取り上げてはお顔やお着物をじっくり見て、ようやく一つを選ぶと、大きなトマト1個と行者ニンニクの瓶詰と一緒に店の母さんのところへ持っていった。

Photo

「すいません、このお地蔵さまは・・・」
「それは、息子のお嫁さんのお母さんの手作りなんですよ」
「そうなんですか。かわいいお地蔵さまですね。それで、おいくらですか?」
「え!?」

びっくり仰天したお店の母さんは慌てて店の奥に入っていき、何やら相談してしている模様。

私は訳がわからない。何か不都合なことを言ってしまったのだろうか・・・?

しばらくして奥から出てきた店の母さんはおっしゃった。

「これ、売り物ではないので、差し上げます」

今度は私がびっくり仰天。
売り物ではない・・道理で値札がついてないわけだ。
それを売り物と思いこんだ私は当たり前のように「おいくらですか?」と聞いてしまったわけだ。

それでも、「差し上げます」とせっかく言ってくださるので、ありがたく頂戴することにした。

一通りお買いものも済み、YTさんと母さんの旧交も暖まると、お腹が空いていることを思い出した。

「この辺に旨いものがあるってどこかに書いてあったような気がするんだけど?」とYTさんが母さんに聞いてくれた。
「ああ、そこの蕎麦屋は美味しいですよ」
「何がいちばん旨い?」
「山菜天ぷら蕎麦ね」

お腹を空かせた4人はさっそく「そこの蕎麦屋」に移動。
テーブルに着くとさっそく「山菜天ぷら蕎麦四つ」を注文した。

待つことしばし。お店のおじいさんが運んできてくれた山菜天ぷら蕎麦に4人とも目が真ん丸・・・夢中でスマホやデジカメで写真を撮った。どんぶりからあふれんばかりの山盛りの天ぷらがのったお蕎麦。

写真撮影の後は4人ともしばし無言で天ぷら蕎麦を味わう。

店の人が自ら摘んできたに違いない山菜やキノコ、新鮮な野菜の天ぷらはご馳走だった。この日はアスパラガスの天ぷらが入っていたが、きっとその日その日の美味しい野菜を揚げているのだろう。あっさりしたお汁には煮込んだ山菜がたっぷり入っていた。

「旨かった!」
「美味しかった!」

を連発しながら山の母さんの店を後にして、再びクマちゃんの車に乗り込むと、さらに山道をのぼっていった。
もっともっと奥へ。青い森へと・・・

・・・・・・・

「そこの蕎麦屋」は何という店だったかなあ、と後で検索してみた。
「そこの蕎麦屋」は、「山のかあさんの店のそばのおそば屋さん」と言うらしい。


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