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2015.10.12

Alone Again

ギルバート・オサリバンの“アローン・アゲイン”という歌を日本語に訳して歌うシンガーの動画を見た。

アローン・アゲイン。
ずいぶん前に流行っていたっけ。
ラジオやお店のBGMで耳にしたっけ。
という程度の記憶しかない。
そもそも、この曲のタイトルを「ハロー・アゲイン」だと勘違いしていたぐらい。

「ギルバート・オサリバンのアローン・アゲインを和訳して歌ったら衝撃の内容だった!」

というタイトルのこの動画を見てみる。

なかなか見事な和訳と演奏。
さわやか青春ソングだと思っていたこの曲が、手痛い失恋のショックから始まることにちょっと驚いた。

しかし・・・

画面に流れる英語と日本語の歌詞を読んでいて、

あれ?

と、思わずストップボタンを押してしまった。

この歌、単に「ふられた」だけじゃない。
肝心なこの部分が和訳されていないのでは?

Left standing in the lurch at a church
起立したまま教会に置き去りにされて
Were people saying, My God, that's tough
参列者は「何てひどい話だ!」と言い合う。

立ったまま置き去りにって、どういうこと?
その答えは次の行の、人々のひそひそ話でわかる。

She stood him up.

場面は教会での結婚式。
チャペルの扉が開く。
参列者は全員起立。
いちばん前に着席していた花婿も起立。
チャペルの入り口から、父親にエスコートされて入場する花嫁を迎える・・・

しかし。
花嫁は現れなかった。

チャペルの最前列に茫然と立ちつくす花婿。

これが、She stood him up.
彼女は彼を立たせておいた。
つまり、結婚式に現れなかったのだ。
これほど面目丸つぶれの失恋があるだろうか。

さらに追い打ちをかける参列者たちのひそひそ声。

Were people saying, My God, that's tough
人々は「何てひどい話だ!」と言い合う。
She stood him up
「花嫁が結婚式に来ないとは!」
No point in us remaining
「さて、私達、ここにいても仕方がないね。」
We may as well go home
「家に帰るとするか。」

彼を慰める者は誰もいない。
これでは、

And visit a nearby tower
近くの塔に行って
And climbing to the top
てっぺんに上って
Will throw myself off
飛び降りてやる
In an effort to make it clear
はっきりわからせてやりたいから
to whoever wants to know
知りたいと思う奴らに
what it's like when you're shattered
打ちのめされるってどんな気持ちかってことを

と恨みごとを言いたくなるのももっともな話だ。
でも、そんなことをしたって何にもならないから、

We may as well go home
我々も家に帰るとするか

と席を立つ参列者を横目に

As I did on my own
僕も家に帰ったさ。

そして・・・

Alone again, naturally
また、ひとりぼっち。生まれた時と同じ。

そして彼の両親の話になる。

I remember I cried when my father died
父さんが死んだ時は泣いたっけなあ
Never wishing to hide the tears
涙を隠そうともしなかった

でも、母親はもっとずっと悲しかったのだ。

And at sixty-five years old
65歳になって
My mother, God rest her soul
母さんは・・・ああ、母さん、安らかに眠ってください・・・
Couldn't understand why the only man
母さんには受け入れられなかった
She had ever loved had been taken
母さんの最愛の人がなぜ逝ってしまったのか
Leaving her to start with a heart so badly broken
哀しみにうちひしがれて、ひとり取り残された母さんは
Despite encouragement from me
僕のどんな慰めも
No words were ever
どんな慰めの言葉も母さんの力にはならなくて
And when she passed away
だから、母さんが父さんの後を追うようにして死んでしまった時
I cried and cried all day
僕は一日中泣いたんだ

そして、彼はこう結論付ける。

Alone again, naturally.
また、ひとりぼっち。生まれた時と同じ。

彼は、直感していのだ。
人は孤独な生き物だと。
この世に生まれてくる時から
一人ぼっちなのだと。

それが、この曲のテーマ。

Alone again, naturally.
また、ひとりぼっち。生まれた時と同じ。

さわやかな青春ソング風のメロディと、小気味よくユーモラスな歌詞で、人生の孤独をさらりと歌うギルバート・オサリバンはただ者ではない。

と、今さらながら感心したのだった。


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