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2015.10.25

買い物なんかしなくていいんだよ!

秋晴れの土曜日。
母と二人で巣鴨のお地蔵さまへお出かけ。

雑司が谷墓地を抜けて都電の駅へ向かう。
このところ調子よく歩いていた母だが、今日はだいぶ腰が痛いらしい。
30歩あるくとひと休み、の繰り返し。
墓地の中はどこでも座り放題(ちょっとお行儀悪いけど・・・)でありがたい。

20151024mama

庚申塚駅で都電を降りると、地蔵通り商店街には露店が並んでいる。
今日は「四の日」。
とげぬき地蔵の縁日だ。

古着や瀬戸物や佃煮や柿といった店をのぞきながら歩く。

電信柱を見つけては片手をついて腰を伸ばして
「遠いねえ」とため息をつく母。

途中でいつもの乾物屋に寄り道。
一袋300円のワカメと一袋500円のしらす干しを買う。
我が家の朝ご飯に欠かせない二点セット。

「おまけしとくからねー。いつもありがとう、おかあさん!」
顔なじみのおじさんが朗らかに声をかけてくれる。

「ちょっとそこで座らせてちょうだい」
乾物屋の脇の路地の反対側に建つビルの横に小さな植え込みを見つけた母は、低い縁石によっこらしょと腰をおろす。
私も母の隣りに腰をおろしてひと休み。

そこへ、乾物屋のおじさんが小走りにやってきた。

「そんな所に座ってないで、うちの店に来てよ! 椅子があるから!」
おじさんは母の腕を取って立たせると、店の奥の座布団を敷いたベンチに連れていってくれたので、ありがたく座らせていただいた。

よかったねえ、お母さん。

そこへ・・・「めかぶ茶はいかがですか?」

若い店員さんから試食用の紙コップを差し出された。
歩き疲れて、喉も乾いていたところ。
ほんのり塩味のきいためかぶ茶を美味しくいただいた。

「おいくら?」
「350円です」
「一袋、いただくわ」

母が財布を出そうとしていたその時に、さっきのおじさんが飛んできた。

「買い物なんかしなくていいんだよ!」

おじさんはわかっているのだ。
母が、月に一度はお地蔵さまにお参りに来ていることを。
母の腰がどんどん曲がってきていることを。
そして、今日はことのほか歩くのが大変そうなことを。

おじさんがわざわざ路地を横切ってやってきて母の腕を取ってくれた時、目頭が熱くなった私は、

「買い物なんかしなくていいんだよ!」

この言葉に、こっそり涙をこぼした。

次回から、とげぬき地蔵に行く時におじさんのお店で買うものが一つ増えた。

300円の生ワカメと、500円のしらす干しと、350円のめかぶ茶。

だから、来月もお地蔵さまにお参りに行こうね、お母さん。

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