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2017.02.28

まあるい知恵

タクシーに乗った。

「○○病院までお願いします。」と言って、住所を伝える。
運転手さんが行き先をカーナビに入れて車をスタート。

初めて行く病院。
入院施設完備の総合病院だ。
自分ひとりで行くならiPadのgoogle mapと首っ引きだが、
今日はカーナビ完備のタクシー。
すっかりお任せモードの私は、いつしか後部座席でうつらうつら・・・

30分ほど乗っただろうか。
タクシーは、大通りから脇道に入った。
そろそろ着くのかな。
バッグからお財布を出して待ち構える。

ところが、タクシーはさらに細い道を左折。
さらに左折、もう一度左折して、もとの大通りに出る。
また脇道に入り、左折、左折を繰り返し、
同じ区画を2回回ったところで、

「この辺のはずなんですけどねえ・・・」

と、首をひねるばかりの運転手さん。

ああ、こんな運転手さんに出会ったことがあったっけ・・・
10年前に訪れたインドの街で・・・

~~~~~~~~~~

南インドのチェンナイの空港に着いたのは夜の9時過ぎだった。
全盲の友と弱視の友と弱視の私の3人旅。
空港の係員の案内でタクシー乗り場へ向かう。
予約のホテルの住所と名前を係員に見せて、
タクシーの運転手に伝えてもらう。
「行き先は伝わっているから、乗ってください」と係員に言われて、私達は後部座席に乗り込んだ。

初めて訪れる南インドの夜の街。
バイクや車が行き交う混沌とした市街をタクシーはくねくねと走る。

くねくね、くねくね、ぐるぐる、ぐるぐる・・・

もしかして・・・?

私の予感は大当たり。

「そのホテルは行ったことがない」と運転手が言い出した。
さらに、「ここのホテルにしたらどうだ?」と、目の前の建物を指さす。

「だめ、だめ! この住所のこのホテルに行ってちょうだい!」
「住所だけじゃ、わからないよ」

予約したのは鉄道の駅の近くの大きなホテルだ。
タクシーの運転手が知らないなんて考えられない。
そもそも「わかる」と言うから乗ったのだ。

しかし、腹を立てている場合ではない。
何とかして今夜の宿にたどり着かねば!

周りは人通りが多い繁華街のようだ。
私は窓から顔を出して、通行人を呼びとめて聞いた。

「このホテル、知ってますか?」
「ああ、知ってるよ」
「このドライバーに行き方を教えてもらえますか?」

後部座席の私達が、手に手に白い杖を握りしめているのが見えたのかもしれない。
おじさんは、ドライバーに行き方を説明してくれた。

「オーケー」とドライバーは言うと、走りだそうとする。

いやいや、彼の「オーケー」は信用できない。

「ちょっと待って!」と運転手に向かって叫ぶと、私はもう一度窓から顔を出して、さっきのおじさんに聞いた。

「ドライバーは、ホテルの場所を理解しましたか?」
「大丈夫だよ!」というおじさんの答えを聞くと
「オーケー、ホテルまで行ってちょうだい!」と、運転手に注げた。

ほどなくタクシーは予約のホテルに着いた。
空港の係員に教えられた料金を運転手に渡すと、彼はチップを要求してきた。

「あなたにはチップは払いません!」と叫んで、運転手を追い帰してしまった私。

あんなに怒らなくてもよかったのに・・・
新米のドライバーだったかもしれないのに・・・
10年前の自分の行いを思い出すと、今はただただ恥ずかしい。

~~~~~~~~~~~~~~~

カーナビに入れたはずの目的地の総合病院にたどりつけないタクシー。

運転手さんは首をひねるばかり。
何とかして病院に行かねば!

さっき曲がった路地を三度目に曲がった時、弱視の私の目に、ヤマト運輸の看板が見えた。

「運転手さん! すいませんけど、そこのヤマトの営業所で、病院までの道順を聞いてきていただけます?」
「わかりました!」と言って、運転手さんは車を降りて営業所に入っていく。

数分後、戻ってきた運転手さん。
「なんだ、すぐそこだったんじゃないですか!」と言いながら、再び車を走らせると、本当に1、2分で病院の正面玄関の車寄せに着いた。

「お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえいえ、お世話さまでした」

そんなやりとりをして車を降りる。
インドの旅から10年。
私も少しは「まあるい知恵」が働くようになったのかもしれない。


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