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2017.04.27

指点字通訳という仕事

「再放送のご案内を出さないといけないですね」
「29日(土)午前0時からでしょう?」
「土曜の午前0時って、金曜と土曜の間ですかね?」
「そうじゃないの?」
「土曜と日曜の間ってことはないですよね?」

日々の仕事の隅々まで目配りを怠らない同僚を悩ませた「4月29日(土)午前0時」に再放送される番組。
それは、「SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」
まったく見えず、まったく聞こえないという障害を持つ東大教授の福島智さんと、不治の難病に見舞われながら女性科学者の先駆けとして活躍されてきた生命科学者の柳澤桂子さん。
お二人の二日間にわたる対談を1時間にまとめた番組です。

東京大学の教授として研究と教育に多忙な日々を送られる福島智さんは、9歳で失明し、18歳で両耳の聴力を完全に失った「盲ろう者」。
目が見えず、耳が聞こえない福島さんが人々と会話し、会議に出席し、学生を指導し、電話をかける・・・

どうやって?

「指点字」という独自のコミュニケーション方法を使います。

点字は6個の点で五十音や数字、アルファベットを表わす仕組み。
紙に点字を書く時は、6個のキーを叩いて点字を書く点字タイプライターを使います。

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紙を使わずに点字を書いて福島さんに伝える方法、それが指点字。
福島さんの両手の人差し指、中指、薬指に、点字のタイプライターのキーを打つのと同じように、点字を打ちます。

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(東京盲ろう者友の会のホームページより)

「指点字」と呼ばれるこの方法で、見えない、聞こえない福島さんは、大学教授として、社会人として、家庭人として、人々と会話を重ねながら生活しています。

私が盲ろう者の福島さんと出会って、指点字通訳という仕事を始めて30年。
福島さんの両手の6本の指に伝える情報のすき間に、何事にもアバウトなモモコさんが伝え損ねたかもしれない情報までをも見事に読み取って、ユーモラスに、暖かく、時に鋭く発言を続ける福島さんの仕事を間近に見てきた30年。

4月22日の土曜の夜、福島さんと柳澤さんとの対談番組、Switchインタビューを自宅のテレビでじっくり見ました。
福島さんの声の端々から、柳澤さんと直接言葉を交わし合える喜びが響いてきます。
ベッドから福島さんを見上げ、語りかける柳澤さんは、言葉数こそ福島さんほど多くはないけれど、一言、ひとことに生命の意味を問い続けてこられた強い意志がにじみ出ます。

柳澤さんの言葉を盲ろうの福島さんに指点字で伝えるのは、同僚の若い二人の通訳者。
静かに、的確に指点字通訳する彼女達の仕事ぶりを映すテレビ画面は感慨深い。

そう、私が福島さんの通訳者として仕事を始めたのは、彼女達の年代だった。
今、画面の中で福島さんに指点字を打ち続ける若き同僚達の姿が頼もしい。
あと20年、30年と活躍していただかなくてはならない福島さんを支える指点字通訳者として、しなやかに、息長く活躍してほしい、とエールを送りつつ、番組を見届ける。

月曜日。

「番組で使われていた“おはよう”の点字のイラストが間違っていましたね」
さっそく若き同僚からチェックが入った。

点字をイラストで説明する例題として「おはよう」という言葉が使われたのだが・・・
「おはよう」は、点字では「おはよー」と書くところを、「おはよう」という点字のイラストが出てしまったのだ。

29日の再放送までに訂正しようということになる。

水曜日の朝。
渋谷のHNKと駒場の福島研究室をiPadのFacetimeで繋いで、NHKさんが修正した点字のCGを確認。

「はい、これで大丈夫です!」

若き指点字通訳者の同僚がOKを出す。

というわけで、29日(土)午前0時、同僚の言葉を借りれば「金曜日と土曜日の間の夜中の12時」から始まる再放送は、一度めの放送内容からほんのちょっとだけ変更されているという、ささやかなトリビアがついたのだった。

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再放送のご案内

SWITCHインタビュー 達人達(たち)「福島智×柳澤桂子」
NHK Eテレ 4月29日(土)午前0時~午前1時 (金曜と土曜の間の夜中です)

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